私立大学において公的研究費に関する不正行為が発覚した際,監督官庁の指導により,当該大学内に第三者調査委員会が設置された事案。
第三者調査委員会委員として関与し,日本銀行考査員(金融検査官)等の職務経験も活かしつつ,比較的短い調査期間内に,不正行為に関する必要な調査を遂行しました。さらに,大学の内部管理態勢の整備・運用状況に関する所要の検討を行い,監督官庁が了承する再発防止策の策定に貢献しました。
訪問介護業務に無資格の従業員を従事させる不祥事が発生。さらに,上記不祥事に関する調査の過程で,事業主が監督官庁に対して真実と異なる説明を行ったことが発覚した事案。
監督官庁との信頼関係が揺らぐ中で訪問介護事業所の代理人に就任し,行政調査に対応しました。まずは,第三者調査委員会委員や日本銀行考査員(金融検査官)等の職務経験も活かし,不祥事等に関する所要の調査を実施しました。その上で,介護事業所役職員や監督官庁担当官との協議を重ね,実効性ある再発防止策を策定しました。これにより,当初は業務停止等の相当重い行政処分が懸念されていたところ,最終的に不処分を獲得することに成功しました。
通信教育事業等を営む大手企業による大規模な個人情報流出事案を契機として,監督官庁のガイドラインが改訂され,審査機関によるプライバシーマーク(PM)の付与・更新審査が厳格化していた状況の下で,PM更新審査を受審したところ,従前は指摘を受けたこともなかった事項を俄かに問題視されて,付与不適格決定を受けた企業から依頼を受けて,審査機関とのPM更新契約の締結交渉を担当した事案。
当初,審査機関の指摘は,依頼者のビジネスモデルの根幹を否定する内容となっていたことから,まずは審査機関の意図を確認した上で対応方針を決定することとしました。審査機関から更新拒絶事由に関する詳細な聴取を実施したところ,ビジネスモデルそれ自体は放棄しなくとも,審査機関の問題意識を正確に反映した情報運用管理態勢の高度化を実現できれば,PM更新契約の締結が可能であることが判明しました。そこで,依頼者の経営陣だけでなく部門長や現場責任者,さらに取引先に至るまで幅広い関係者との間で綿密な調整を行い,フィージビリティーにも十分配慮した上で,情報運用管理態勢の高度化を実現しました。その上で,審査機関に対して,前記改善策を的確に説明することによって,PM更新契約締結に成功しました。
警察や日本証券業協会等の指針を踏まえ,自社の反社会的勢力排除指針を策定した上で,既存顧客の属性調査を実施したところ,反社会的勢力に該当すると思料される人物名義の取引口座の存在が発覚した事案。
商品先物取引業者の代理人(民事介入暴力対策に注力する複数の弁護士との共同受任)として,上記取引口座に関する解約手続を行い,早期かつ円満な取引終了(関係遮断)を実現しました。
一級建築士事務所が注文住宅の設計・建築を受注し,前払金の入金を確認した後,設計図面を完成。ところが,注文者からの要望に応じて紹介した金融機関が注文者からの融資申込を謝絶。そうしたところ,注文者は,建築資金不足を理由に請負契約の中途解約を申し入れるとともに,独自の理論を展開して前払金全額の返還を執拗に要求した事案。
まずは,一級建築士事務所の役職員と綿密な打合せを行った上で,注文者の性質や行動様式を踏まえ,対応方針を策定しました。続いて,上記方針に従い,一級建築士事務所の代理人に就任し交渉窓口を一本化した上で,丁寧かつ毅然とした交渉姿勢を貫き,前払金規定の趣旨やその合理性につき理論的かつ明快に説明することなどにより,前払金返還等の名目による金銭請求を断念させ,円満な取引終了を実現しました。
勤務成績不良を理由に解雇した不良従業員から,解雇無効及びこれを前提とした未払賃金請求を受けた事案。
依頼者は非顧問先であったことから,受任後約2週間という短期間のうちに,代表者を含む複数の会社関係者からの詳細な事情聴取,就業規則をはじめとした諸規程の綿密な検討など所要の調査を実施した上で,答弁書等を起案しました。そして,会社との密接な連携の下で,労働契約上の地位確認請求の阻止を目標として労働審判に臨み,規程不備や解雇手続瑕疵など複数の問題点があったことから難航したものの,最終的には,会社の希望どおり合意退職を実現しました。
コロナ禍の下での「新しい生活様式」への適応の一環として,オンライン取引への移行やリモートワークの新規導入を図る企業に対し,法的助言を行うなどの支援を行った事案(複数)。
オンライン取引やリモートワークを導入する際に不可欠な前提知識(押印の法的意義など)に関する懇切な解説に始まり,綿密な打合せを重ねてビジネススキームの見直しを提案し,これを踏まえた契約書面や社内規程の改訂案を提供することなどによって,円滑なオンライン取引及びリモートワークの新規導入に貢献しました。
上記経験を踏まえて,令和2年8月,実務書籍『即実践!!電子契約』(日本加除出版社/共著)を上梓し,同年12月,シンポジウム『電子契約の過去・現在・未来-書面・押印・対面の見直しのための技術と法』(日弁連法務研究財団・第一東京弁護士会IT法研究部会共催)に登壇しています。
本邦企業による外国金融機関に関するM&Aについて,買収側事務局の一員として関与した事案。
日本銀行の検査監督部門等での職務経験も活かしながら,リーガルリサーチ(銀行制度に関する両国間の比較等),両国の金融当局に対する説明文書の作成,契約書面や買収先行内規程の監修等を担当することによって,M&Aの成功に貢献しました。
サブリース契約の転々借人から依頼を受けて,転借人の倒産及び賃借人との合意解約を理由として退去を求める地主や転借人の破産管財人等関係者との調整を行った交渉事件。
依頼者の賃借物件(店舗)は商業施設内の一区画であったところ,上記施設のほぼ全ての店舗が閉鎖されることなどから,依頼者としては,退去要請には応じるものの,時間的余裕を確保したい旨の依頼を受けました。そこで,錯綜する法律関係を整理した上で,法令及び判例に基づき占有権限を適切に主張して関係者と粘り強く交渉することを通じて,退去までの猶予期間を必要十分な程度に確保したことに加え,原状回復義務免除などの有利な退去条件も併せて獲得しました。
原告会社が,代表者間の親族関係を背景として,被告会社に対して経理出納業務等を委託していたところ,被告会社が,その取引先と共謀の上で,取引を装って原告会社名義預金約3500万円を不正に送金して横領した事案。
被告会社らに対し損害賠償請求訴訟を提起したところ,被告会社らは,名義株などの法的主張に加えて,経理出納業務等を受託していた立場を悪用して改竄した計算書類や架空の取引書類を裁判所に提出するなどして,原告会社の請求を争いました。これに対して,原被告会社の設立経緯,業界の取引慣行等に関する的確な立証を行い,これら事実を踏まえて,被告会社ら提出の計算書類や取引書類などの信用性を弾劾(証拠価値を減殺)し,被告会社らの主張を悉く排斥することによって,完全な勝訴判決を獲得しました。
元役員が自ら領収書を偽造し,さらに経理担当の従業員を抱き込むなど数々の隠蔽工作をした上で,会社名義預金や小口現金を横領した事案。
告訴代理人として関与し,金融機関作成の取引記録,領収書や計算書類などを綿密に検討し,さらに隠蔽工作に関与した経理担当の従業員から事情を聴取することなどを通じて資金の流れを解明した上で,告訴状を作成しました。その上で,捜査機関との調整を粘り強く行ったことにより,告訴の受理を実現しました。
SNS上で会社代表者を誹謗中傷する書き込みが行われた事案。
告訴代理人として関与し,まずは関係証拠を積み上げることにより,誹謗中傷コメントを書き込んだ行為者を特定しました。その上で,行為者を特定した根拠や構成要件該当性を明快に記載した告訴状を作成し,捜査機関との間で緊密なコミュニケーションを取ることによって,告訴の受理を実現しました。
原審(東京家庭裁判所における合議事件)では,長期間にわたる別居や別居後の当方言動などを理由に,全面的な敗訴判決(相手方の離婚請求認容,当方の離婚慰謝料請求(予備的反訴)棄却)を受けた離婚訴訟について,控訴審から新たに受任した事案。
夫婦関係の実態,別居の原因,別居後の相手方言動などにつき新証拠を交えて的確に立証し,相手方による離婚請求の背信性を明らかにすることによって,控訴審において逆転勝訴判決(破棄自判)を獲得しました。
数年前に離婚して以降,前妻が実子を監護養育していたところ,その実子が私立大学医学部へ進学したことから,高額な入学金や授業料などが必要となったなどとして,前妻から,卒然と養育費増額調停を申し立てられ,数千万円に及ぶ「特別の費用」の支払を請求された事案について,相手方(前夫)手続代理人として対応した事例。
調停期日の中で,離婚時の養育費を含む合意内容及びその交渉過程,私立大学医学部進学に関する事前同意の有無,父子間の交流状況などの事情について,的確な資料を用いて丹念に説明することにより,調停委員会の当方主張に対する十分な理解を獲得しました。その結果,養育費増額調停は,調停委員会の強い指導を背景として,取下げにより終了しました。
不貞に関する直接証拠はなく,間接証拠は複数存在するものの一つ一つの推認力は強くないという事情の下で,被告らが不貞の事実を一切否認して頑強に争った事案。
原告訴訟代理人として関与し,写真やメールなどの間接証拠を丁寧に整理して,法的意味合いを丹念に評価した上で,それらを積み上げることで不貞の事実を立証することによって,勝訴判決を獲得しました。
原告が売買残代金の支払を求めて訴訟を提起したところ,被告は,和解契約書中には債務引受条項がなく,かつ,原告が住宅ローンの連帯債務者のままであったことを奇貨とし,求償請求債権を自働債権とする相殺の抗弁を提出して争った事案。
原告訴訟代理人として関与し,区分所有権の取得から和解契約の締結に至るまでの諸事情を詳細に検討した上で,和解契約中の不動産価格の決定に至る交渉過程などを明らかにすることを通じて,当事者間の債務引受合意を立証することによって相殺の抗弁を排斥し,完全な勝訴判決を獲得しました。
車両同士が隘路(優先権は相手車両)で擦れ違いざまに車体を擦過した物損事故に関して,双方の保険会社を介した訴訟外交渉の中で,自車停止中における相手車両衝突を主張して過失割合を争っていたものの,唯一の捜査機関作成資料である物件事故報告書の内容が上記主張と整合していなかった事案。
訴訟提起後から被告訴訟代理人として関与し,まず物件事故報告書について警察官臨場時の状況(当方に対する聴取不十分)などを具体的に明らかにすることでその信用性を弾劾(証拠価値を減殺)した上で,さらに被告主張を裏付けるアジャスター(損害調査員)作成の調査報告書を提出するなどの訴訟活動を展開することによって,自損自弁での訴訟上和解を実現しました。